美味しいお米を決める成分

アミロース含有量が少なく、粘り気の強いお米が美味しい

海外旅行で現地のお米を食べた時、「パサパサしているなぁ」と思った事があるのではないでしょうか。一般的に日本人は粘りが強くもちっとしたご飯を美味しいと感じ、逆に粘り気が少ないご飯はあまり美味しいと感じない傾向にあります。

お米の粘りを大きく左右するのは、デンプンの成分です。お米のデンプンは、二つから構成されています。一つは、グルコース(ブドウ糖)が直鎖状に結合した「アミロース」。もう一つは、グルコースが枝分かれして結合した「アミロペクチン」です。

このアミロースとアミロペクチンの比率でお米の粘りが決まり、美味しいと言われている米は、アミロースの含有量が比較的少ない傾向にあります。特に最近人気が高いミルキークイーンは低アミロース米と言われ、アミロースの含有量が低いお米の代表例です。ちなみに海外で多く食べられているインディカ米に対して、粘りが少なくパサパサした印象を持つのは、このアミロースの含有量が高いためです。

タンパク質含有量も食味を左右する

タンパク質の含有量も美味しいお米を決める要素の一つと言われています。タンパク質には水分を通さない性質があり、炊飯のとき、米が水分を吸収するのを邪魔します。そのためタンパク質が多いお米は粘り気の少ないパサパサした食味の悪いご飯となってしまいます。お米(玄米)に含まれるタンパク質は平均6.8%と言われ、この数値が低いほど粘りの強い美味しいご飯になるといわれています。近年、お米の全国コンクールで入賞するお米を見ていると、タンパク質含有量は6%台を切り、5%台での勝負になっています。

タンパク質含量は、とくに窒素肥料の施用方法に強く影響されると言われています。窒素肥料を多く施用する、それも出穂前後に施用すると、お米に含まれるタンパク質含有量が増加します。タンパク質含有量を低く抑え、品質を維持することは、農家さんの腕の見せ所の一つです。

水分と脂肪酸もお米の品質に影響を与える

アミロースやタンパク質以外にも、お米に含まれる水分や脂肪酸も食味に影響を与えます。水分は多すぎると貯蔵性が悪く品質の劣化を早め、少なすぎると炊飯時にべっとりとしたご飯になり、食味の悪さの原因になります。一般的には玄米の段階で水分が15%前後のものが理想といわれています。

お米の貯蔵の期間が長くなると、お米に含まれる脂肪が分解され、遊離脂肪酸となります。この物質が増えると「古米臭」の原因になります。この遊離脂肪酸は新米時期には少なく、端境期近くになると増えてきます。温度が高いほど水分の減少や脂肪の分解が進むため、長期間保存する貯蔵庫では、15℃以下の低温と一定の湿度のもとで玄米を保管するのが良いとされています。

生産者が集うお米の全国コンクールでは今回ご紹介した、アミロース、タンパク質、水分、脂肪酸の含有量を、お米の成分を計測する食味計で数値化して審査を行うケースがあります。一般の消費者がこういった数値を見る事はなかなかできませんが、プロ生産者の間では自分のお米の成分を数値化して食味の向上に邁進されています。

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